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競争法フォーラム(Japan Competition Law Forum)とは |
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概要 |
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競争法フォーラムは、独占禁止法を専門にしている、または専門にしようとしている弁護士・外国法事務弁護士で平成17年11月9日に設立された任意団体で、現在200名を超える個人会員・賛助会員および東京3弁護士会、大阪弁護士会の研究部が団体会員として所属しています。
毎年、独占禁止法の実務に関する論題をもとに年次大会を開催し、その他に研究会、講演会を行うなど、独占禁止法の実務の向上のために研鑽し、また、国際的には国際法曹協会(IBA)、米国法曹協会(ABA)などと交流をしています。
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フォーラムの目的 |
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本フォーラムは、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」、「不当景品類及び不当表示防止法」、「下請代金支払遅延防止法」など競争に関する法律(以下、「競争法」という)に関する会員の専門的知見を高め、競争法に関して活動する国内および海外の団体および執行当局と会員との交流を深め、ならびに競争法に関する政策に関する提言および知見・情報の頒布・普及を目的としています。
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フォーラムの活動 |
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(1) |
毎年における大会の開催 |
(2) |
競争法および競争政策の調査・研究 |
(3) |
研究会および講演会の開催 |
(4) |
競争法および競争政策に関する提言 |
(5) |
競争法に関係する国内および海外の団体および執行当局との連絡および交流 |
(6) |
上記(5)に定める関係者との調査・研究、競争法および競争政策の提言、その他の競争法および競争政策に関する活動についての協力 |
(7) |
競争法および競争政策に関係する国際的機関・組織との交流ならびに協力 |
(8) |
日本の競争法ならびに競争政策に関する情報の国際的普及および頒布 |
(9) |
調査・研究成果の公表および出版 |
(10) |
その他上記に掲げる活動に関連し、総会または理事会で決定した活動 |
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役員紹介 |
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会長 |
川合 弘造 |
(西村あさひ法律事務所・外国法共同事業) |
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副会長 |
江崎 滋恒 |
(アンダーソン・毛利・友常法律事務所) |
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多田 敏明 |
(日比谷総合法律事務所) |
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長澤 哲也 |
(弁護士法人 大江橋法律事務所) |
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伊藤 憲二 |
(森・濱田松本法律事務所 ) |
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常務理事 |
志田 至朗 |
(志田至朗法律事務所) |
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雨宮 慶 |
(島田法律事務所) |
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宮川 裕光 |
(外国法共同事業 ジョーンズ・デイ法律事務所) |
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向 宣明 |
(桃尾・松尾・難波法律事務所 ) |
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中野 雄介 |
(アンダーソン・毛利・友常法律事務所) |
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那須 秀一 |
(きっかわ法律事務所) |
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由布 節子 |
(渥美坂井法律事務所・外国法共同事業) |
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山田 篤 |
(アンダーソン・毛利・友常法律事務所) |
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井本 吉俊 |
(長島・大野・常松法律事務所) |
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中島 秀夫 |
(ホワイト&ケース法律事務所) |
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理事 |
大東 泰雄 |
(のぞみ総合法律事務所) |
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宇都宮 秀樹 |
(森・濱田松本法律事務所) |
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山田 香織 |
(フレッシュフィールズブルックハウスデリンガー法律事務所 ) |
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柏木 裕介 |
(小池・柏木総合法律事務所) |
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大軒 敬子 |
(ホワイト&ケース法律事務所) |
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池田 毅 |
(池田・染谷法律事務所) |
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平山 賢太郎 |
(平山法律事務所) |
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木村 智彦 |
(モリソン・フォースター法律事務所) |
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籔内 俊輔 |
(弁護士法人 北浜法律事務所 東京事務所) |
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島田 まどか |
(西村あさひ法律事務所) |
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花本 浩一郎 |
(TMI総合法律事務所) |
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石井 輝久 |
(シティユーワ法律事務所) |
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Joel Rheuben |
(Herbert Smith Freehills) |
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監事 |
佐川 聡洋 |
(日比谷総合法律事務所 ) |
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顧問 |
石田 英遠 |
(アンダーソン・毛利・友常法律事務所 ) |
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内田 晴康 |
(TMI総合法律事務所 ) |
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竹島 一彦 |
(森・濱田松本法律事務所) |
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中藤 力 |
(日比谷総合法律事務所) |
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鈴木 正貢 |
(ベーカー&マッケンジー法律事務所(外国法共同事業)) |
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上杉 秋則 |
(フレッシュフィールズブルックハウスデリンガー法律事務所 ) |
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杉本 和行 |
(TMI総合法律事務所) |
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矢吹 公敏 |
(矢吹法律事務所 ) |
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渡邉 新矢 |
(本間合同法律事務所 ) |
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事務局長 |
向 宣明 |
(桃尾・松尾・難波法律事務所 ) |
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事務局幹事 |
小林 和真呂 |
(西村あさひ法律事務所・外国法共同事業) |
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石田 健 |
(アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業) |
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宮 雄介 |
(森・濱田松本法律事務所) |
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川浦 史雄 |
(日比谷総合法律事務所) |
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伊藤 伸明 |
(長島・大野・常松法律事務所) |
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菅野 みずき |
(弁護士法人大江橋法律事務所東京事務所) |
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田中 翔 |
(桃尾・松尾・難波法律事務所) |
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会長就任のご挨拶(2023年) |
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競争法フォーラム会長 川 合 弘 造
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矢吹会長よりご指名をいただき、会員各位のご承認をいただき次第、新たな会長に就任させていただく川合です。
35年前のことですが、私の弁護士としての最初の業務は、日本企業による米国企業株式の取得が米国HSR届出の対象となるかの検討案件であったことを今でも記憶しています。その当時、技術導入契約の交渉を有利にするため、当時存在した国際契約の届出制度を利用して外国企業の要求が不公正な取引方法に該当するとの言質を公取委担当官から得ようとする取り組みや、これも現在は廃止されている外国企業の株式保有報告書の作成提出なども多かったように記憶をしております。
その後米国・欧州に90年代前半に留学、ブラッセルの米系事務所で研修し、80年代末から90年代前半にかけて急速に進む欧州での競争法制度の整備に間近で触れたことが、本格的に競争法に取り組むきっかけとなりました。1947年に独禁法が導入された日本よりも遅れて競争法を導入した欧州での急激な法整備と法執行が、その後、世界各国に大きな影響を及ぼしたことはご案内の通りです。
1997年に日本の実務に復帰した後、様々な競争法案件に携わって参りましたが、同時に、競争法に携わる弁護士の業務分野・領域の拡大の可能性、他の専門分野の弁護士との関係での相対的地位の向上も重要と考えて参りました。本年3月に久しぶりにABAのspring meetingに参加し、その際に複数の旧知の米国弁護士から、PE Fundが欧米の大手事務所の主要な依頼者となる中で、競争法専門家がPE FundのM&A業務へのサービスを期待されるだけの存在になりつつあったり、PE Fundが許容する高額の時間あたり弁護士報酬を請求できない産業依頼者向けの案件を受任しにくくなっている実情を聞かされましたが、日本でも同じような事態にならないか気がかりです。それでも欧米では私訴案件も多数あり(英国での訴訟は多いです)、競争法専門家の生き残りのための領域(room to breathe)も残されているようにも思います。他方で、日本の場合、自動車部品カルテルで案件が増加した一時期を除き、競争法業務の拡大は幾つかの領域では顕著ではありますが、これを除くと、それほど順調とも言いがたいとも感じています。
私自身の競争法フォーラムでの役割は、次世代の優秀な方々への円滑な橋渡しと考えておりますが、これからの任期中、競争法専門弁護士の業務範囲の拡大について会員の皆様と率直な意見交換をさせていただければと思っております。
力不足のところもあろうかと存じますが、ご協力いただければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。
2023年7月
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会長退任のご挨拶 |
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競争法フォーラム前会長 矢 吹 公 敏
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私が競争法フォーラムの事務局長となったのが設立された2005年でした。その後、伊従会長、内田会長、中藤会長に事務局長としてお仕えし、副会長を経て2019年に会長となりました。すでに、競争法フォーラムも18年の歴史を刻むこととなりました。その間に、初代会長の伊従先生がご逝去され、偲ぶ会でも競争法フォーラムからの回顧のお話をさせていただきました。
競争法フォーラムは、独占禁止法を専門とし、または専門としようとする弁護士および外国法事務弁護士が集まって設立された任意団体ですが、会員数も、設立時には約150名、現在でも250名を超えることとなりました。また、この18年の間に、独占禁止法は、2005年の大改正から、2009年、2013年、2019年の改正があり、私共、独占禁止法実務家のプラクティスも相当に変わりました。
私が会長に就任した2019年には、競争法フォーラムが目指すべき目標として、日本の独占禁止法の実務がより充実し、国内でその役割が広がり、世界でもさらに認知されることを目指し、そのために、@研究活動をさらに充実して会員の研鑽を深化させること、A公正取引委員会と協働して日本の独占禁止法の実務の幅と深さを広げること、B研究者、企業関係者や消費者団体の方々とも意見を交換すること、C国際法曹協会(IBA)、ABA、ACA等の諸団体ともさらに交流し、国際競争ネットワーク(ICN)等の国際会議にも積極的に参加すること、そしてD研究者・企業法務の方を中心に会員を増やして組織を強化すること、を実施したいと申し上げました。それがどれほど達成できたか自信のないところもありますが、そちらは後の方に託したいと思います。
ただ、これからの日本の競争法の将来像は以下の諸点にあると考えております。
@ 世界の競争法の体系の統一化と各国独自の規制への実務家の立法活動
A 国際化への実務家の対応−随分国際化が図られた分野ではあるが、なお一層の国際化が必要である。
B 訴訟による判断が少なくなっていることへの危惧−公取委による実態調査や任意の交渉・確約手続などの方法は早期に競争を回復できるメリットはあるが、行政的な解決では、先例性がなく、また独禁法の発展(公取委の職員の紛争解決技能の向上を含む)にも繋がらない。
C 規制当局と実務家が切磋琢磨して実務を進化させる必要がある。そのため、紛争においては対立当事者であるが、両者の信頼関係が不可欠である。
D 将来の市場の姿を前提として先取りした競争政策が必要であり、そのためにエコノミストや技術者も独禁法の分野に積極的に参加することが望まれる。公取委は専門分野における部署を充実させてほしい。
競争法の分野がさらに面白く、飽きない分野となることを祈念して退任のご挨拶といたします。
2023年7月
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会長就任のご挨拶(2019年) |
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競争法フォーラム会長 矢 吹 公 敏
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この度,競争法フォーラムの会員の方々からご了承をいただき,中藤会長から会長職を引き継ぎました。
競争法フォーラムが2005年11月9日に設立されたときから,14年間事務局長をさせていただき,伊従会長,内田会長そして中藤会長を支えて同フォーラムの裏方として活動してまいりましたが,今般会長にご選任いただき,光栄に存じます。
競争法フォーラムは,公正取引委員会の当時の竹島委員長(現在フォーラム顧問)・上杉事務局長(現在フォーラム副会長)からも支援をいただき,日本でも米国法曹協会(ABA)の反トラスト委員会のように実務家が集まり,同委員会と共に我が国の独占禁止法実務を充実させようと設立したのであります。
その後,会員数も220名を超え,弁護士会の法律研究会も複数参加して日本での独占禁止法の実務家集団の研鑽の場となりました。また,独占禁止法改正を始め,同法の制度改革の際には,実務家の視点から数々の意見書を具申してまいりました。そうした活動の成果として,世界でも競争法フォーラムの名は知られるところとなり,アジア競争法機構(ACA)にも参加をして,韓国・中国の実務家・研究者の方々とも交流を重ねてきました。私も,2016年から2年間同機構の会長も務めさせていただきました。
今後,競争法フォーラムが目指すべき目標としては,日本の独占禁止法の実務がより充実し,国内でその役割が広がり,世界でもさらに認知されることであります。そのためには,@研究活動をさらに充実して会員の研鑽を深化させること,A公正取引委員会と協働して日本の独占禁止法の実務の幅と深さを広げること,B研究者,企業関係者や消費者団体の方々とも意見を交換すること,C国際法曹協会(IBA)、ABA,ACA等の諸団体ともさらに交流し,国際競争ネットワーク(ICN)等の国際会議にも積極的に参加すること,そしてD研究者・企業法務の方を中心に会員を増やして組織を強化すること,を実施したいと考えております。
今回の人事では,向宣明先生に事務局長をお願いし,多くの中堅・若手の方々が理事や事務局幹事に選任されましたが,そのような役員の方々と協力して,上記の目標を達成していきたいと思いますので,皆様ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
2019年7月
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会長退任のご挨拶 |
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競争法フォーラム前会長 中 藤 力
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競争法フォーラムの会長を2期務めさせていただきました中藤です。会長の器でないことを自覚しつつの2期でしたが、理事、その他幹部の皆さんを始めとして会員の皆さん、公正取引委員会の方々のサポートのおかげで、任期を全うすることができました。厚く御礼申し上げます。
もともと、このフォーラムは米国のABAの反トラスト部会のように、実務家を中心に幅広く競争法のあり方について研究、議論、提言をできるような会を目指して設立されたものです。私が会長に就任した段階では、競争法フォーラムも200人余の会員となり、組織としての形は整ってきた状況であり、更に発展をはかっていくという時期でした。
私自身は、このフォーラムで独占禁止法に関しての議論、研究を充実させるとともに、我が国の独占禁止法、競争のあり方について、実務家の視点から様々な意見を述べ、提言が行える会にするのが次の段階だと考えておりました、更には、その意見や提言が、ABA反トラスト部会のそれと同じとはいかないまでも、社会的に一定の評価を受けるというところまでもっていければ良いなという野望も持っておりました。
残念ながら、私自身の非力もあり、会長在任中には、到底この野望を叶える状況にはいたりませんでした。
このフォーラムにも若い参加者が増え、組織としての基礎的な部分は固まってきたと思いますので、次の会長のもと、是非このフォーラムの存在意義を幅広く社会に認知してもらい、フォーラムが、我が国の競争政策において一定の役割を果たせるようになっていくことを心から念願しております。
改めて会員の皆様への御礼とフォーラムのますますの発展を祈念して、退任のご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
2019年7月
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会長就任のご挨拶(2015年) |
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競争法フォーラム会長 中 藤 力
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この度、伊従初代会長、内田前会長から襷を受け継ぎ、会長に就任いたしました。
本年は、2005年の競争法フォーラム設立から10年目の節目に当たります。この10年間で競争法をめぐる日本や世界の情勢は目まぐるしく変化してきました。日本においては、独占禁止法が平成21年と平成25年の2度の改正を経て、その内容も執行も厳しさを増し、更に、本年からは改正独占禁止法により裁判所の関与も大きなものとなっていきます。海外に目を転じますと、米国を筆頭に日本企業に対する海外の競争法の執行が、個人、企業の両者に極めて重大な影響を及ぼしています。このような変化に十分に対応していくためには、日本国内はもちろんのこと、米国・欧州・アジア等諸外国における競争法の知識をもつこと、またその知識を日々更新していくことが非常に重要です。特に、競争法の分野においては、事件への対応だけではなく、競争法違反のリスクを避けるためのコンプライアンス、よりよい競争法のあり方、執行のための提言と、弁護士には幅広い役割を果たすことが強く期待されています。
当フォーラムは、会員数100名から始まり、10年を経て現在では200名を超える弁護士・外国法事務弁護士・企業法務に関わる方々がご参加下さっています。各会員が日々異なる事例や問題に直面し、その中で新たな知見が生まれています。当フォーラム主催の月例研究会でも、日本国内における様々な事例研究から、諸外国の競争法執行の現状・実務など広く深いテーマ設定をし、会員各位の専門性の深耕に努めています。しかし、当然のことながら、会員一人ひとりが知り得る範囲には限りがあります。当フォーラムは各会員の知見を展開・共有し忌憚ない意見交換をすることで競争法に関する知見が集まり、相互に研鑽する場として機能しています。会員各位には、是非当フォーラムへの積極的なご参加をお願い致します。
会長として、会員各位のご期待に応え、当フォーラムの一層の発展に微力ながら力を尽くして参る所存です。関係各位におかれましては、どうか引き続きのご指導とご支援を賜りたくお願い申し上げます。
2015年7月
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会長退任のご挨拶(2015年) |
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競争法フォーラム前会長 内 田 晴 康
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会長の任期を振り返って
(1) 創立時
競争法フォーラムは、10年前に誕生しました。今年が10周年になります。
設立は、独禁法の世界における国際的な執行強化の潮流、日本の公正取引委員会の当時の竹島委員長の積極的執行の方針の下の執行強化の動きに対応して、独禁法実務に携わる実務家、特に弁護士の間で、独禁法弁護士の団体を創設すべきではないかとの機運が生じたこと、同時に公正取引委員会の竹島委員長、上杉事務総長(当時)が、当局と弁護士の間で独禁政策、運用等に関して率直な意見交換を自由
に、透明性を持って行える場を設けることの必要から弁護士を中心とする団体の創設を支援したことで実現しました。
特に、竹島委員長、上杉総長はABA(米国法曹協会)の独禁法部会の春季大会に参加し、1,000名近くの独禁法実務に携わる弁護士を前に米国司法省の独禁法執行の責任者が独禁法の年次の執行方針を述べ、会場からの質問に答え運用上の問題点等を真摯に討議する場面に接し感銘を受け、日本でもこのような舞台、土俵、フォーラムは出来ないものかと考えるに至ったこと、日本の弁護士で春季大会に参加していた弁護士も同様な問題意識を共有したことが、ABA独禁部会の日本版組織ともいえる競争法フォーラムの創設を目指す動きにつながったと認識しています。
当時、弁護士側では伊従、矢吹弁護士等が中心となり、その後弁護士会の独禁法部会、研究会等の責任者を加え、上杉氏とも連携を取りながら競争法フォーラムを立ち上げました。私も他の数名の弁護士とともに創設前から中核メンバーとして関与しました。
(2) 伊従会長を承継して
伊従弁護士が会長に就任して5年間会長職を務めました。伊従会長の当局を含む広範な人脈、高い学識、経験に基く先導で、競争法フォーラムは着実に会員を増やし、活動を充実してきました。5年経過して、伊従会長からの要請を受け私が会長に就任しました。
(3) 任期中の活動
会員の皆様、理事はじめ役員の方々、事務局を取り仕切ってフォーラムを率いて来た矢吹事務局長、事務次長の先生方、またご協力頂いた公正取引委員会の現役、OBの皆様のお蔭で、まだまだ課題はありますが、競争法フォーラムの発展に貢献できたことを感謝しています。
(i) 会員の維持、拡大
会員の拡大が課題の一つですが、200名前後の会員数を維持できていることは、日本での独禁法実務家の母数から見るとほぼ満点に近いのではないかと思います。今後は会員の活動への積極的参加が課題と考えています。
(ii) 活動
競争法フォーラムの活動についてはウェブサイトで報告されていますので、任期中の主要な活動のみを挙げます。
・年次大会
年次総会は、公正取引員会委員長等の講話に引き続き、総会、理事
会、懇親会を開催し、秋に年次大会として、独禁法の最新のテーマを取り上げ、国内、海外からの講師 を招き、カンファランスを開催してきました。実務的で、かつ質の高いプレゼンテーションと質疑がなされる意義のある大会でした。
・海外国際法曹団体との協力、交流
海外の国際法曹団体との協力としては、ACA(アジア競争法協会)と毎年韓国、中国、日本の持ち回りでカンファランスを開催しています。昨年は日本で開催され、今年は中国での開催です。最も記憶に残るものは昨年のIBA(国際法曹協会)年次大会です。6000人を超える世界からの弁護士が集まる法曹界の歴史的なイベントでした。この大会の初日にフルデイプログラムとして、国際的な独禁法のテーマを取り上げたセッションが企画されました。競争法フォーラムは共催者として企画、運営に関与しました。アジアの20か国近くの当局のトップがパネリストとして参加し、各国の独禁法執行の現状、問題点を報告し、弁護士等の実務家の質問に答え、実務家のパネルでは実務上の最先端の問題が討議さました。この分野では画期的な歴史的イベントで、競争法フォーラムの存在感を世界に示すことが出来ました。
・研究会等
日常活動の強化として、研究会、月例会が開催され、今年度からはより充実し、頻度、密度の高いものとなっています。この関連で、私の任期中の「目玉商品」ともいうべき、若手会員対象のトレーニングプログラムを担っていただいた上杉氏に感謝の意を表します。
・提言、提案
競争法フォーラムのウェッブサイトに掲載されていますが、時宜にあった適切
な提言を、法改正、規則改正の都度行ってきました。
(4) 今後への期待
今後は、本日の総会、理事会で選任された役員、特に会長の中藤先生を中心に一層の活動強化が行われ、競争法フォーラムはますます発展して行くものと期待しています。創設の理念を引き継ぎながら、新たな10年への飛躍を祈念して、退任の挨拶とします。
2015年7月
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会長就任のご挨拶 (2010年) |
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競争法フォーラム会長 内 田 晴 康
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7月の総会、理事会で会長に選任されました。
競争フォーラムは初代の伊従会長のもと、発足から5年間で会員数200名を有する組織となりました。
独禁法を専門とする弁護士を核とする団体としての地歩を固めたものと思っています。
この間の伊従前会長の功績は多大なものがあり、私も5年間で築かれた礎をもとにフォーラムの更なる発展のため、微力ながら全力を尽くす覚悟でおります。
特に、力を入れたいのは(1)会員のための日常活動の強化(2)国際活動の強化(3)独禁関連組織との交流、連携の強化(4)独禁法関連の立法、執行に対する提言等の活動の強化です。具体的には、会員が意見交換、研鑽を行う場として研究会等を活発に行い、最先端の独禁実務を研究するとともに、会員の需要に応じて基礎講座、実務講座のようなものも設けてはと考えています。また、国際活動は、ABA、IBA等の国際法曹団体との交流、連携をさらに強化するとともに、近時のアジアにおける独禁法の導入、執行強化の動きを踏まえ、特に東アジア(中国、韓国等)の独禁法の法曹団体との交流、連携を強化していきたいと考えています。独禁関連組織としては、創設以来重点をおいてきた公正取引委員会との意見交換、情報交換、交流を強化して、独禁行政の適正な執行を実現出来る環境づくりをさらに進めて行きたいと思っております。これに加え弁護士会の部会、研究会、経団連の独禁部会等の諸団体との交流、連携を深めることを目指します。また、独禁法関連の立法、執行のあり方については積極的に提言、意見表明を行うことで、フォーラムの存在意義を高めて行きたいと思います。
このような活動の強化を図るには、会員の方々の積極的な参加、協力が不可欠です。会員の皆様に各々の活動に責任を持って参加していただき、参加したことがフォーラムのみならず、会員の方々にとってのメリットとなるような体制、組織つくりをしていきます。
5年間の基礎固めの時代に続き、競争法フォーラムの飛躍の5年を一緒に創り上げて行きましょう。
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会長退任のご挨拶(2010年) |
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競争法フォーラム前会長 伊 従 寛
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会員の皆様・関係者の皆様:
2005年11月の競争法フォーラム創立総会で会長に選任されて以来、皆様方のご協力・ご支援に支えられて会長職を続けて参りましたが、去る7月15日の第6回総会で退任させていただきました。在職中ご厚誼を深く感謝いたします。新しい役員は大幅に若返り、新しくフォーラムが発展することを心から祈念致します。
私は、公正取引委員会に長く勤めた後、中央大学法学部教授となり、1988年に弁護士登録をして以来、独占禁止法の適正な運用のためには米国のAmerican Bar Association(ABA)Antitrust Sectionのような組織が必要であると考えて、同じあさひ法律事務所の小泉淑子先生の紹介で内田晴康先生と種々ご相談していたのですが、たまたま日弁連と国際法曹協会(IBA)との合同で国際独占禁止法シンポジウム開催のための準備会が2004年の秋に結成され、私もその準備委員に選ばれましたので、その準備会で独占禁止法部会創立の話合いが非公式に進められました。この間、公正取引委員会の上杉秋則事務総長のご協力も受けながら準備を進めましたが、2005年4月の国際シンポジウムの終了後から日弁連の川村明先生のご意見などを伺いつつ、矢吹公敏先生を中心にフォーラム設立の動きが具体化し始めました。この過程で日弁連の中に部会を作るのは困難であると考えて独立の団体で発足することとし、2005年には競争法フォーラムが設立されました。当初会員は50名程度と予想しておりましたが、約100名の会員が参加してくださいました。創立総会では、日弁連、公正取引委員会、IBA、ABAなどから祝辞を頂いております。その後、会員相互の間での研究と親睦、公正取引委員会等との情報交換、ABA・IBAその他海外友好団体との交流、政策提案などの活動を進め、会員数も200名を超えるようになりました。しかし、まだ揺籃期の感はぬぐえません。これからがフォーラムの活動期に入ることになると思います。
2005年の独占禁止法の改正は同法の執行力強化の上で画期的な効果を発揮しています。しかし、同改正により事前審査型審判制度は事後審判制度に変わり、それに対する反対意見も強く、独占禁止法の執行手続問題には混乱が見られ、本年3月には事後審判制度の廃止の改正法案が政府から国会に提出されました。改正法案は、審判制度の廃止に対して処分前手続の充実を提案していますが、法案の処分前手続の内容は、米国・欧州連合のそれと比較して極めて不十分であり、当フォーラムは処分前手続の充実化に関する意見書を関係方面に提出しています。我が国の独占禁止政策は、政策の整備段階を過ぎて法律の実際的運用段階に入ってきていますが、この段階では処分前手続の充実は、適正手続の確保の上から最重要の課題であり、市場参加者の代理人となって処分前手続に関係する独占禁止法専門弁護士の団体として当フォーラムの責任は重大であると考えます。
他方、現在東アジア諸国の経済発展が急速に進み、数年のうちに東アジア共同市場が形成されると予測されています。その場合、東アジア市場は人口から見てもGNPからみても世界市場の中で最大の市場となり、そこでの公正競争秩序の問題は重要課題となりますが、東アジア市場の場合には欧州共同市場の場合のように1957年のローマ条約自体で競争ルールを法定していないので、関係諸国の話合いによるほかには解決の方法はないと思います。競争法は市場関係者の利害対立の調整の側面が強いので、競争法の施行機関とともに、市場関係者の代理人である弁護士の競争ルールへの参加が不可決になると考えられます。当フォーラムもこの問題に積極的に関与する必要があると思います。
以上のような課題に対応するためにも、また日常の独占禁止法関係業務のためにも、会員相互の独占禁止法問題の研究活動は不可欠であり、この面の当フォーラムの研究活動は基本的に重要であると考えます。このような活動は独禁法関係弁護士が個別には困難な問題を含んでおり、当フォーラムが会員の力を結集してこれらの課題を遂行することが必要であると考えます。私も今後は一会員としてフォーラムの活動に参加するつもりです。
会員の皆様、関係者の皆様の長い間の暖かいご支援ご協力を改めて感謝致します。
2010年7月
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